リサーチエッセイ

リサーチエッセイNo. 71 2019-04-15

日本郵政とアフラックの医療保険提携の政策的実相
~歪んだ保険市場政策の歴史と公的保険への影響の可能性~

 

  • 日本郵政とアフラックは、2018年12月、資本・業務提携を発表した。両社の提携強化は、外圧により「自由」「公正」等の理念に反した歪んだ政策が行われてきた医療保険市場の積年の構図、特に、保険の第三分野における外資系優遇した「ダブルスタンダード・内外逆差別」政策の歴史(1990年代後半の日米保険協議等)を呼び起こさせるものである。
  • 両社の提携の契機は、2013年のTPP交渉参加に際して、日本郵政によるアフラック商品の販売というカードを出すことで、アメリカが要求する外資系企業の日本市場での既得権益の保護・利益拡大を受け入れる一方、官製企業である日本郵政の事業拡大を実現する、という政治的選択であった。
  • 今後、保険市場における歪んだ政策のあり方が再び浮上し、その中で「公的保険制度」がターゲットとなって、制度運営に影響する可能性が懸念される。
    公的保険の現状をみると、社会保障財政が厳しくなっていくなかで、財源的な折り合いをつけて、国民皆保険を堅持していくことがますますナローパスとなっていくことは避けられない。
  • 今後、「公的保険と民間保険の役割分担」や「医療に関する保険制度の効率化」といった旗印を掲げ、公的保険の制度運営を揺るがすような外圧要求が、再び起こらないとは限らない。財政面で知恵を絞り、公的保険制度を円滑に維持運営していくことが求められる。

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