リサーチエッセイ

リサーチエッセイNo. 77 2019-09-18

医療関連データの国際比較
-OECD Health Statistics 2019-

 

  • 2018 年の日本の対 GDP 保健医療支出は 10.9%(36 か国中 6 位)で、アメリカ、ドイツ、フランスよりも低い。日本、ドイツ、フランス、カナダの対 GDP 保健医療支出は 11%前後に収束している。また、高齢化率から見ると、日本の対 GDP 保健医療支出や対 GDP 社会支出は高くはない。
  • しかし、日本では保健医療支出が公的財源でカバーされている範囲が広い割に税金や保険料による負担が低い。
  • 日本の保健医療支出に占める医薬品およびその他非耐久性医療財支出の比率は G7 の中ではもっとも高く、抑制傾向にもない。
  • 薬剤師数、薬剤師養成数ももっとも多い。他国よりも保健医療支出が調剤業務に配分されている割合が高いのではないかと推察される。
  • 日本は人口当たりの総病床数が非常に多いと指摘されるが、精神病床を重複計上していることも一因であり、高齢者に対応する病床は十分ではない。
  • 人口 1,000 人当たり医師数は日本では 2.4 人、OECD 平均は 3.5 人である。厚生労働省の医師数推計から計算すると、日本の人口 1,000 人当たり医師数は 2030 年前後に 3 人程度になる。
  • 日本では国民 1 人当たりの受診回数が多いことが問題にされているが、受診 1 回当たりの費用は低い。少額で比較的軽微な受診に対して定額負担を求める動きもあるが、少額で軽微な受診を制限すると、高額で深刻な受診が増える可能性があることを考慮すべきである。

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