リサーチエッセイ

リサーチエッセイNo. 82 2020-05-26

受診時定額負担について

 

  • 財政審等で何度も俎上に挙げられてきた保険免責制、受診時定額負担の経緯を整理し、患者負担と受診抑制の関係について先行研究を確認した。
  • 財政当局としては、消費税率を引き上げた、保険料率も引き上げた、あとは患者負担ではないかということであろうかと思われるが、経済的負担からの受診抑制を明らかにした先行研究は少なくない。
  • 財政当局が特に問題としているのが、国際比較における日本の1人当たり受診回数の多さであるが、これは医療費の構成要素のひとつに過ぎない。高齢化、処方日数、タスク・シェアリングなど各国の社会背景や制度の違いを丁寧に紐解く必要がある。
  • 全世代型社会保障検討会議は、現行の選定療養の下で、初診・再診時の特別料金を徴収する病院の拡大を求め病床規模で線引きをしているが、同会議はかかりつけ医の普及を目指しているのであるから、日本医師会や健保連の報告書が主張してきたように、かかりつけ医の普及自体を後押しすべきである。
  • 財政当局は患者負担増、全世代型社会保障検討会議は公的医療保険の負担軽減を求めているが、すべての財源(公費、保険料、患者一部負担)について、あらためて真正面から取り組むべきである。

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