リサーチエッセイ

リサーチエッセイNo. 83 2020-06-01

諸外国におけるCOVID-19関連の
アドバンス・ケア・プランニングの概況

 

  • アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の話し合いは、日本をはじめ諸外国の政策・臨床において重視されている。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の場合、肺炎を発症して呼吸困難・呼吸不全等を伴い重症・重篤化し、発症から2週間余りで死に至るという事案が報告されている。このように死に至るまでの時間が比較的短い疾患の場合、十分に話し合いを行う時間や余裕が、患者とその家族、医療従事者の双方に無い可能性が高くなる。
  • 諸外国では、さまざまな内容について話し合うという特徴を有するACPが治療法が確立しておらず急速に重症化して死にいたる可能性のある感染症の世界的流行時の今こそ重要だ、と指摘されている。
  • 実際に、欧米諸国を中心に、COVID-19に関するACPガイダンスやフォーマットが作成され、重症化するリスクのある人たちにACPの話し合いを促している。
  • 日本では、COVID-19パンデミックにおいて、罹患して重症化した場合に高度医療を受けるかどうか、自分が最後まで大切にしたいことは何か、予め 話し合っておく必要があるというような議論があまりなされていない。
  • もちろん、ACPの話し合いを患者や家族に強制するようなことがあってはならない。しかし、このような時こそ、日本でも「人生会議」をすることが大切ではないか。自分ががんなどの慢性疾患だけでなく、COVID-19のよ うな感染症にかかって命が限られた状況になった時、どのような治療を望むのか、あるいは、望まないのか、さまざまな内容を家族や親しい友人などと話し合うということが重要だと考える。

ダウンロード  (約 1 MB)