リサーチエッセイ

リサーチエッセイNo. 92 2020-09-16

新型コロナウイルス感染症の診療所経営への影響
2020年4~6月分

 

  • 診療所の2019年および2020年4~6月の毎月の損益状況、新型コロナウイルス感染症に関連する交付金等や融資の申請状況を調査した。
  • 医業収入の対前年同期比は、2020年4~6月平均で、総数で▲13.3%、耳鼻咽喉科で▲34.5%、小児科で▲26.0%であった。
  • 医療法人の無床診療所の医業利益率は2020年4~6月の間毎月赤字であった。無床診療所は入院外のみの収入であり、受診控えの影響が大きい。有床診療所は水面上ぎりぎりの黒字を維持したが、給与費を削減した結果である。
  • 診療所の約6割は交付金等または融資の申請をしており、二次補正予算での支援策が活用されていることがうかがえる。ただし、まだまだ不十分であるとの声も少なくない。地域医療の確保に必要な診療を継続する医療機関への支援として、有床診療所へ200万円、無床診療所へ100万円(いずれも上限)の補助があるが、無床診療所では2020年4~6月中のおおむね1か月の減益、耳鼻咽喉科および医療法人の小児科にいたっては半月の減益を補う程度であり、継続した支援が必要である。
  • 小児科では、前年同月に比べ医業収入が30%以上減少した月がある診療所が6割近くあるが、50%以上減少した月があるのは約1割であり、半数近くはぎりぎりのところで持続化給付金の要件に該当しない。持続化給付金については、医業収入の対前年同月比50%以上減少という要件がある。今後、要件の緩和や段階的な要件設定が求められる。

ダウンロード  (約 812 KB)