リサーチエッセイ

リサーチエッセイNo. 94 2020-11-19

新型コロナウイルス感染症の診療所経営への影響
-2020年7~8月分-

 

  • 新型コロナウイルス感染症の拡大が医療機関経営に与える影響を把握するため、2019年および2020年の7・8月のレセプト情報、医業収入、医業利益等について、診療所を対象にアンケート調査を行った。また、2020年3~6月の全国実績や、同年4~6月を対象に行ったアンケート調査を踏まえて、傾向を分析した。
  • 入院外総件数の対前年同月比は2020年5月のマイナスがもっとも大きく、6月にはややマイナス幅が縮小したが、7月、8月と改善傾向が見られない。特に小児科、耳鼻咽喉科は、大幅な減少となっており、要因のひとつである受診控えがつづいていることがうかがえる。
  • 1施設当たり医業収入の対前年同月比は2020年5月から6月にかけてややマイナス幅が縮小したが、7月、8月はほとんど回復していない。2020年4~8月平均での無床診療所の1施設当たり医業収入対前年同月増減額は、月平均▲1,484千円である。
  • 2020年7月、8月の医療法人の医業利益率は水面上スレスレか赤字の状態である。2020年4~8月平均での無床診療所の1施設当たり医業利益対前年同月増減額は、月平均▲1,210千円である。
  • 感染拡大防止等を行った診療所向けに新型コロナ緊急包括支援交付金(上限:有床診療所2,000千円、無床診療所1,000千円)があるが、支援として十分ではない。
  • 診療報酬では院内トリアージ実施料(300点/回)の対象が広がり、電話等再診で医学管理料を算定できるようになったが、対前年同月の減収はつづいている。
  • 全体的な追加支援と、さらに小児科および耳鼻咽喉科に対しては、集中的な支援が求められる。

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