リサーチエッセイ

リサーチエッセイNo. 95 2020-11-25

電話や情報通信機器を用いた診療についての
アンケート調査結果

 

  • 日本医師会が新型コロナウイルス感染症の拡大が医療機関経営に与える影響を把握するために行ったアンケート調査の任意回答項目として、オンライン診療等※)の実施状況および評価について質問した。
  • 電話等再診を実施している診療所は、精神科で9割、産科・産婦人科約7割、外科および内科約6割であった。「現在はしていないが、今後実施する」というところも多く、電話等再診は一定の需要があり、その対応もとられつつあるようである。
  • 情報通信機器(電話以外)を用いたオンライン診療を実施する診療所は、今後実施予定を含めても15.4%にとどまった。しかし、「現在実施していない、今後は未定」が53.7%あり、状況次第では、診療所の半数以上が新たにオンライン診療に参入する可能性がある。
  • 現在、オンライン診療を実施する診療所は、そうでないところに比べて、オンライン診療等について肯定的な意見が多いが、それでも不安のほうが多い。
  • オンライン診療等における医療の質の確保については、全体的に不安感が強い。また、患者の多くが高齢者であり、情報通信機器を使いこなすことができないという意見や、医療安全への不安、導入コストが高いという意見があった。
  • 現在、政府は、オンライン診療等の拡大を意図しているが、オンライン診療等を取り巻く課題(医療の質、情報通信システム、医療安全、コスト等)を解決できる場合にのみを対象にすべきである。

※)本稿では、電話以外の情報通信機器を用いた診療は「オンライン診療」、電話および情報通信機器を用いた診療をあわせて「オンライン診療等」と呼ぶ。

ダウンロード  (約 705 KB)