リサーチエッセイ

リサーチエッセイNo. 100 2021-02-22

2020 年度政府(国・一般会計)予算について(Ver.3)
-2020年度第3次補正予算と2021年度当初予算-

 

  • 2020年度予算は補正後175.7兆円であり、予備費からの支出も含めると社会保障費(雇用対策を含む)が46.6兆円、中小企業対策費が27.1兆円、特別定額給付金が12.9兆円等であった。
  • 2020年度は、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金があわせて3.9兆円計上された。このうち、医療機関・薬局等における感染防止等の支援補助金には、日本医師会の調査によれば診療所の9割近くで申請(予定を含む)されるなど、有効な支援になった(なお、金額の多寡については今後の検証が必要)。
  • 2020年度の多額の予備費の活用はかつてないことであり、今後、これまで以上に決算の動向を注視していく必要がある。
  • 2021年度当初予算では、消費税収の減収が見込まれており、2022年度の診療報酬改定に向けて、社会保障4経費(年金、医療、介護、子ども・子育て)の財源がタイトになっている。
  • 財政面では基礎的財政収支の黒字化がさらに遠のき、財政当局が財政赤字の主要因とする社会保障費の抑制圧力が強まることが予想される。しかし、社会保障関係産業は数少ない成長産業のひとつであり、多くの雇用を創出している。新型コロナウイルス感染症で影響を受けた医療提供体制を修復しつつ、その視点からのさらなる後押しも必要である。

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