リサーチエッセイ

リサーチエッセイNo. 101 2021-03-05

新型コロナウイルス感染症の診療所経営への影響
-2020年9~10月分-

 

  • 新型コロナウイルス感染症の拡大が医療機関経営に与える影響を把握するため、2019年および2020年の9・10月のレセプト情報、医業収入、医業利益等について、診療所を対象にアンケート調査を行った。また、すでに公表されている4~8月の全国実績を加味して、2020年3月以降の傾向を概観した。
  • 入院外(外来と在宅)件数の対前年同月比は、2020年5月を底として、徐々に回復してきている。しかし、依然としておおむねマイナスである。特に小児科と耳鼻咽喉科のマイナス幅が大きく、受診控えが長期間つづいている。
  • 1施設当たり医業収入の対前年同月比も、徐々にマイナス幅が縮小しつつあるが、2020年4~10月の増減額の累計は、有床診療所▲4,091千円、無床診療所▲7,918千円に達していて、診療報酬や補助金は大きく不足している。
  • 医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業補助金は約9割の診療所で申請されており(申請予定を含む)、多くの診療所への支援になった。一方で、当該補助金が「十分」という回答は全体で約1割に止まっている。
  • 診療報酬において、院内トリアージ実施料や時間外加算の特例が設けられているが、その特例を「知らなかった」という回答も少なくない。診療報酬の特例をはじめ、補助金等についても特例等の制度の内容を周知する必要がある。

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