リサーチエッセイ

リサーチエッセイNo. 102 2021-03-22

日本の病床数

 

  • 新型コロナウイルス感染症流行下において、OECDのデータを使って日本と諸外国との病床数が比較されることがままあった。しかし、そもそも医療提供体制の仕組みはもちろん、用語の定義も異なる(OECDの基準で近づける努力はされているが)ので、単純な比較はできない。本稿ではそのことを示すために、方便として国際比較を行っているが、そうであっても誤解を招きかねないことを憂慮している。
  • どうしても病床数の国際比較を行う際には、総病床数だけ見て終わるのではなく、医療機能別の病床数も確認しておくことが望ましい。が、同時に医療だけでなく介護、福祉も含めて全体像を認識しておくことも必要である。同じような状態の患者(利用者)であっても、医療(入院)が提供される国と、介護が提供される国がある。同じ国の中でも、制度の変更(その根本は医療費削減)によって、病床が削減され、介護での収容が増える国がある。
  • 諸外国と医療提供体制について比較を行う際には、急性期から介護系まで一連で把握しつつ、医療機能ごとのデータも考慮する必要がある。ただし現在、在宅医療の提供体制を把握できていない 。在宅医療の拡大に伴い、在宅医療を含めて医療提供体制を把握することも重要になってくる。

2021年4月30日、以下を修正しました。
P.1
誤:SHA
正:保健医療支出の場合はSHA

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