リサーチエッセイ

リサーチエッセイNo. 106 2021-05-14

新型コロナウイルス感染症の診療所経営への影響
-2020年11月~2021年1月分-

 

  • 新型コロナウイルス感染症の拡大が医療機関経営に与える影響を把握するため、2019年および2020年の11月、12月、2020年および2021年の1月のレセプト情報、医業収入、医業利益等について、診療所を対象にアンケート調査を行った。
  • 総件数(実患者数に相当)の対前年同月比は2020年2月の閏年の影響を除くと、1年間を通じてマイナスである。マイナス幅は2020年5月を底として縮小傾向にあったが、2020年11月に再び大幅に減少した。2021年1月は小児科で▲38.5%、耳鼻咽喉科で▲25.1%であり、厳しい受診控えがつづいていることがうかがえる。
  • 初・再診料は、初診料への依存度が高い小児科、耳鼻咽喉科で初診料の算定回数が激減している。内科も初診料が大幅に減少した。
  • 診療報酬上の乳幼児加算の特例は、小児科のほとんど、耳鼻咽喉科の約8割をはじめとして幅広い診療科で算定されている。
  • 2020年11月から2021年1月までの間に、診療所の 約3分の1が何らかの補助金を受けている。感染拡大防止等支援事業補助金を受けたところも一定数あることがうかがえるが、それでも医業利益が赤字のところが散見される。
  • 補助金は一定の効果はあったが、依然として受診控えを主要因とする収入および利益の減少傾向がつづいている。引き続き補助金や診療報酬による支援が求められる。

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