リサーチエッセイ

リサーチエッセイNo. 107 2021-06-24

新型コロナウイルス感染症に関する日本医師会の対応①
-2020年1月~2020年6月まで-

 

 2020年1月から6月までの、新型コロナウイルス感染症に関する日本医師会の主な対応をみた。

 厚生労働省から中華人民共和国湖北省武漢市での原因不明の肺炎に係る注意喚起文書が送付された翌日、都道府県医師会へ周知を開始した(1月7日)。以降、公式ホームページでの情報提供(1月22日~)や、会内に「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置(1月28日~)する等、早期から情報提供するとともに、様々な機関・団体からの情報を収集・共有し、感染拡大防止に向けた体制作りや政府への要望等を進めてきた。

 

 2月に発生したクルーズ船内での新型コロナウイルス感染症の集団感染では、2月14日から20日まで、JMATが派遣された。通常、JMATは自然災害などの理由で地域医療に甚大な被害が発生した場合に地域医師会の要請を受けて派遣されるため、特例的な派遣であった。

 

 3月に入ると海外からの帰国者の感染者が増加し、病院や高齢者施設等での集団感染も起きるようになった。医療提供体制も逼迫が進み、深刻な状況にあることが各地から相次いで寄せられ、国の緊急事態宣言発令に先立ち、4月1日に「医療危機的状況宣言」を発表した。


4月18日にはアカデミアの立場から臨床現場における治療面での信頼できる情報を共有し、エビデンスのある提言を行い、現場の支援を行うことを目的に、「COVID-19有識者会議」を設置した。

 

 「新型コロナウイルス感染症外来診療ガイド」(5月1日・第1版/5月29日・第2版)や「新型コロナウイルス感染症時代の避難所マニュアル」(6月17日)の発行など、最新の知見に基づいた診療ガイドや、感染症対策と安全な避難所運営を両立するためのマニュアルも作成し、現場で活用できるようにした。

 

 医療機関の経営状況に関する調査も適宜実施し、厳しい経営状況に置かれている医療機関への配慮や手当を度々国に対し要請した。

 

 また、国民向けに感染拡大防止の啓発や医療従事者への差別の禁止を呼び掛ける動画を作成・公開するなど、公式YouTubeチャンネルの活用も積極的に行った。

 

 一回目の緊急事態宣言終了後、国内の新規感染者数も二けた台で推移したが、6月末頃から100人を超えるようになり、第二波、第三波、第四波と、流行の波は繰り返し訪れている。第二波以降の日本医師会の対応についても引き続き整理していく。

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