資料・書籍・その他

資料・書籍・その他 2001-10-15

フランスレポート|研修医・病院勤務医へ朗報、夜勤明けの休労義務法制整う

「タタミ」「キモノ」と同様に、「カロウシ(過労死)」という和製フランス語が通じるようになってから久しいが、フランスでも、 インターン研修医・病院勤務医(特に救急室勤務)の劣悪な労働条件は、 いわば、優秀な臨床医となる過程での試練として踏襲されてきた。

 

この度、厚生大臣ベルナール・クシュネー(MD,国境なき医師団の創始者)により、 夜勤当直をした医師への休労の義務が法制化された。 本法は、2003年10月1日より施行される。

 

これによると

  1. 病院内で、夜勤当直を行った全ての医師への11時間連続の休労の義務
  2. 麻酔・蘇生・産・救急科での、「継続的」夜間診療を行った場合は、11時間完全休労
  3. その他の科の診療を行った場合は、患者とのコンタクトのある臨床行為の11時間休労
  4. 病院内での夜勤当直は、週1回まで、日曜・祝日は月1回まで
  5. 病院外(自宅等でビーパー携帯)での夜勤待機は、週3回まで、日曜・祝日は月2回 までが義務化された。

また、報酬については

  1. 病院内夜勤当直1回は、233.09ユーロ、または日勤1日の休みに等しい
  2. 病院外夜勤待機1回は、35.83ユーロ、または日勤半日の休みに等しい
  3. 副・病院外夜勤待機5回は、日勤半日の休みまたは、各回23.48ユーロに等しい

とされた。

 

本法は、絶対厳守されるべきものではあるが、やむを得ず「柔軟な」体制をとる事態が生じた場合には、 「医師の同意を明文化する」事が義務付けられている。

 

本法が施行される事により、地方の小・中規模病院では、深刻な人員不足が予想される。 この為、施行を2年後とし、時間的猶予を与え、その間に地域病院機構(ARH)は、 地理的に近い複数の病院間での当直医師の共有プール・ネットワークを構成する事も、 補足条項に組み込まれている。