資料・書籍・その他

資料・書籍・その他 2001-08-14

フランスレポート|
ヨーロッパ共同体圏内外国での治療規制に関する判決:
Smith & Peerbooms判例

2001年7月12日、CJCE(Cour de Justice des Communautes Europeennes: 欧州共同体裁判所)は「圏内患者の移動入院に関する事前申請」に対する判決を以下の通り下した。 この判決は、圏内外国間における社会保障分野で、今後のインプリケーションの指標となる事が予想される。
と言うのも、これにさかのぼる1998年4月28日のコール&デッカー判例では、 ルクセンブルグ在住の患者コール氏が、他国で、眼鏡・歯科矯正器具を購入しようとしたケースで、 購入のための事前申請は、患者の医療サービスへのアクセス権の自由を妨げるものとして、 患者(コール氏)の勝訴となっており、今回の入院費用に関しては、どのような判決となるかが、 関係者間で注目されていたからである。

 

今回の判決は、オランダ在住のパーキンソン患者シュミット夫人が、入院事前申請許可無しに、 ドイツのケア施設に入院したケースと、事故後昏睡となったペールブーム氏のオーストリアの クリニックでの集中治療入院に関するケース(オランダでは、同治療は、25歳未満の患者に限られている。) の二件である。
上記二件とも、オランダの加入疾病金庫より、同国既存の治療と比較して外国での治療の必要適正が認められず、 医療費償還が拒否されていた。オランダの法制では外国の非協定医療施設で治療を受ける場合は、 事前申請許可を受けた後にのみ可能とされている。欧州裁判所では、同国のこの法が患者の 医療サービスへのアクセス権の自由を妨げると、違憲性を認めた。同時にオランダ疾病金庫側が主張する 「外国で治療を受ける必要性がある場合、その治療は医療現場従事者間で一般的に常用されている治療であるべき」 との訴えにも、同国の狭義的な範囲規定を却下、患者側の勝訴となった。