ワーキングペーパー
ワーキングペーパーNo. 327 2014-10-20
平成26年公的年金の「財政検証」に関する分析
—今後の年金政策の方向性と医療への示唆—
- 社会保障において、公的年金と医療は「車の両輪」だが、年金では、5年に一度、定期健康診断として「財政検証」を行う。
- 年金は平成16 年に制度改正が行なわれ、現在はその枠組みで運営されている。
現役世代の保険料を固定し、マクロ経済スライドを導入する一方、給付水準の下限を設定している(標準世帯の新規受給でみて所得代替率50%が公約となっている)。 - 今回の「財政検証」のシナリオの「前提」は疑問符が付くものが少なくない。
経済再生ケースは楽観的すぎる。積立金運用への過度な期待は望ましくない。 - 現状の制度運営のままであれば、国民への公約を守れない恐れがある。
マクロ経済スライドのフル発動、厚生年金の適用拡大等は早急に実施が必要であり、
早晩、支給開始年齢引上げも検討しなければならないであろう。 - 年金制度の健全性の維持や改善には、制度内の対応だけでは不十分である。
少子化対策は極めて重要で、雇用政策、高齢者医療政策等も大きな役割を果たす。 - 年金は、「経済」や「(国家)財政」の論理が入り易く、既に「混合年金」状況にあると言える。制度運営や政策面で、年金は医療の「反面教師」と言える。
- 「2025年問題」が課題となる中、年金の運営が行き詰まれば、社会保障内で限られた財源の奪い合いとなる懸念もある。年金の行方に十分注視していくべきである。
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