ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 505 2026-09-18

日本の社会的医療保険の成立と発展

森井大一

 

 日本の社会的医療保険は、大正11年(1922年)の健康保険法(健保法)の成立に始まる。当初は大規模工場と鉱山労働者のみを対象としていたが、その後、より小規模な事業者及びサービス産業の被用者にも適応が拡大された。その一方で、農業等の第一次産業従事者の社会的医療保険については、昭和13年(1938年)に国民保険法(国保法)が整備された。これは国保という地域保険を導入するものであった。

 戦後、社会権(生存権)を保障した日本国憲法25条の下で、1950年に社会保障制度審議会勧告が出された。これは、社会保険という共助の仕組みを社会保障の主位的制度とすることを宣言すると同時に、国民自身がその費用の負担者であることを確認した。1958年の国保法改正により、地域保険である国保及び被用者保険である健保の2本建てで1961年から皆保険が始まった。1960年代後半から1970年代初頭にかけては、老齢保険の創設などの3本建て案が提案され、抜本改正が盛んに議論された。1973年から1983年の老人医療費無料化を経て、1980年代には老人保健制度及び退職者医療制度が創設された。その後、1990年代後半から2000年代前半にかけて抜本改革が論議された。その中では、財政調整案、一本化案、被用者保険の突き抜け案、独立型高齢者医療制度等が提案された。その結果、平成18年(2006年)の法改正を経て、独立型の後期高齢者医療制度、財政調整型の前期高齢者医療制度を内容とする高齢者医療制度が平成20年(2008年)に創始された。

ダウンロード  (約 3 MB)