ワーキングペーパー
ワーキングペーパーNo. 495 2025-09-30
ICTを利用した全国地域医療情報 連携ネットワークの概況(2024年度版)
ポイント
地域医療情報連携ネットワーク(地連NW)について
◆2012年度より続く全国の地連NWを網羅した調査、有効回答数280箇所であった
◆地連NWの運営に6割以上の地域で自治体が何らかの形で参画していた
◆隣接する他地域との連携は漸増傾向にあり、既に半数以上の地域で行われていた。予定を含めると7割を超える地域で実施されていた
◆医療計画等の行政計画に半数以上の地域が記載されていた
◆各職種で地連NW導入により業務負担軽減の達成度合いが増加していた
◆毎月の新規登録患者がいる地域は9割を超え、対象範囲が広い地域の方が毎月の新規登録患者数も多かった
◆参加同意書取得済みの割合は漸増傾向にあり、94.2%の地域で同意を取得していた。対象範囲が広い方が同意取得率も高かった
◆ビデオ通話機能・TV会議システムを使用している地域は半数を超え、コロナ禍において大幅に使用が増えた
◆安全管理対策はウイルスソフトを最新にするなどの事前防止対策は十分行われていたが、情報が漏えいした際の対策はおよそ半数の地域でしか行われていなかった
◆地域医療介護総合確保基金が原則運用費用に使用できないことについて33.2%の地域で困っており、対象範囲が広い地域の方が困っている割合が高かった
◆全国で稼働している地連NWの平均運用年数は10.2年、1地連NWあたりの平均参加施設数は143.3施設であった
◆平均システム構築費用(累積)は2億3,390万円、2025年度運営予算額の平均は1,131万円であった
◆中期計画(運営)計画は6割以上の地域で作成されていなかった
◆将来のシステム更改時の費用負担について3割以上の地域で未定となっていた
◆地連NWの最大の導入効果は「患者サービスが向上した」であった
◆次世代医療基盤法を知っている割合は6割を超えていたが、7割を超える地域でデータ提供の予定はなかった
◆地連NW運営側で「検査・画像情報提供加算」、「電子的診療情報評価料」の具体的な説明を行っている地域の方が、これらの診療報酬を算定している割合が高かった
◆マイナポータルとの連携は半数以上の地域で検討していない、または実施予定がなかった
◆地連NWとPHRとの情報連携は8割以上の地域で情報を取得しておらず、PHRとの連携は進んでいなかった
◆オンライン資格確認等システムとの連携は、およそ7割の地域で検討していない、または実施予定がなかった
◆地連NWと3文書6情報のどちらにも対応することを2割以上の地域で重複投資と感じていた
◆電子処方箋の実施は前回調査より2倍以上増えたが、メリットを感じていない割合の方が高かった
◆地域における面としてのかかりつけ医機能を4割以上の地域で発揮できていた
◆全国医療情報プラットフォーム創設の影響について36.5%の地域で心配しており、NPOが運営主体の地域では心配する割合が8割を超えていた
◆全国医療情報プラットフォーム創設により何かしらの影響があった地域がおよそ1割あった
◆地連NWと全国医療情報プラットフォームは2割以上の地域で併存すべきであると回答した
◆診療録(カルテ)および看護記録は開示していない医療機関の方が多かったが、その他レポート(画像・検査・手術・リハビリの記録等)は開示している医療機関の方が多かった。診療録(カルテ)開示されていないもっとも多い理由は、医療機関内での同意を得られないであった
◆その他レポート(画像・検査・手術・リハビリの記録等)を開示している医療機関は半数を超えていた
◆救急時に患者同意がない状況で情報閲覧ができない地域は5割を超えていた
◆地連NWで保有する医療情報の二次利用は7割以上の地域で利用していなかった
◆サイバー攻撃への対応は半数以上の地域で予防対策を実施していた
◆新型コロナウイルス感染症のような感染症蔓延下において地連NWが役立つと回答した地域は64.9%であった
◆地連NWの運営協議会は76.2%の地域で開催されていた
◆標準型電子カルテは8割以上の地域で認知され、およそ7割の地域でHL7 FHIR規格で医療情報が交換されることを知っているが、標準型電子カルテの導入やHL7 FHIRへの対応は極めて少なかった
◆調剤薬局の調剤結果を地連NWで共有している地域はおよそ2割であった
◆健康・医療・介護情報利活用検討会医療等情報利活用ワーキンググループの議論に基づいた対応を行っている地域は極めて少なかった
◆地連NWの財務諸表作成は6割以上の地域で未作成であった
多職種連携システムについて
◆2014年度より続く調査、有効回答数184箇所であった
◆主に在宅医療介護現場の連携ツールとして使用されていた
◆タブレット端末およびパソコンは運営主体が費用負担している割合が高かった
◆運営側で使用しているモバイル端末を把握している割合は半数であったが、85.7%の地域において管理下にあるモバイル端末を使用していた
◆多職種連携システムでは「コミュニケーションツール」の機能がもっとも使用されており、使用割合は漸増傾向にあった
◆多職種連携システムと介護情報基盤が併存すべきであると回答した地域は31.8%であったが、多職種連携システムと介護情報基盤の連携を行っている地域はおよそ1割であった
◆多職種連携システムで共有されている項目は「ケア記録」がもっとも多かった
◆導入効果は「利用施設間の人的ネットワークが進んだ」がもっとも高かった
◆平均構築費用(累計)は1,538万円、2025年度運営予算平均額は179万円であった
◆構築費用(累計)が無料の地域は45.0%、2025年度運営予算がない地域は20.0%であった
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