ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 154 2007-12-14

後発医薬品はわれわれを幸せにするか
−後発医薬品の経済的側面からの考察−

 

◇ わが国の医薬品価格は政府によりコントロールされている。国際比較すると、わが国の後発医薬品の価格は、他の先進国と同等である。しかし、新薬の価格が低く設定されていることから、新薬(先発医薬品)との比較においては、それは他の先進国よりも高い。これは、諸外国に比べて、わが国の国民が新薬や先発医薬品に経済的にアクセスしやすいことを意味している。それゆえにわが国では後発医薬品のシェアが低いとも考えられる。

◇ 政府の薬価コントロールにより、最近のわが国の薬剤費は、世界水準からするとかなり節約的に推移してきた。

◇ 後発医薬品の使用を促進する政策の一方で、新薬の価格引上げを求める圧力がある。後発医薬品の使用が拡大すると、その圧力が一層強まることが予想され、それによって目的である医療費の節約が達成されない恐れがある。

◇ 新薬を生み出すイノベーションの見返りとして、価格引上げが必要であるとされているが、新薬メーカーはすでに充分な経済的な見返りを確保している。

◇ 現状において、あえて国内の医薬品市場のバランスを崩してまで、後発医薬品の使用を拡大する選択肢を取るのであれば、今までどおりの薬価引下げ政策を継続することに加えて、新薬の価格引上げについては、きわめて慎重に対応していく必要がある

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