日医総研
日医総研 日医総研ワーキングペーパー
No. 439
TKC医業経営指標に基づく経営動態分析 -2018年4月~2019年3月期決算-
角田 政
概要

 TKC医業経営指標からみる2017年度から2018年度にかけての民間医療機関の経営状況は、医業収益(売上)が若干なりとも伸び、材料費率(医薬品費を含む)の低下も認められるが、主として従事者の給与等の上昇により、経常利益率は総じて横ばいであった。

 病院(法人)は、医業収益が横ばい程度の伸びにとどまり、材料費率の低下による余剰が、主として従事者の給与等に回り、経常利益率は改善せず、厳しい経営状況が続いている。

 有床診療所は、法人では役員報酬を削った結果、経常利益率は横ばいを維持したが、個人は経常利益率が低下した。

 無床診療所(院内処方)は、薬価改定の影響もあり、法人では医業収益が低下(ただし材料費率も低下)し、コスト面では従事者の給与等が伸びたことが主要因となり、経常利益率は低下した。個人の経常利益率もほぼ横ばいにとどまった。院内処方は、各診療科とも院外処方に比べて経常利益率が低く、厳しい経営状況になっている。院内調剤業務が十分に評価されていない可能性がある。

 無床診療所(院外処方)は、医業収益が若干伸び、材料費率も若干下がった一方、法人は、主として従事者の給与等が伸びたことから、経常利益率は低下した。個人の経常利益率はほぼ横ばいであった。

 以上のように、医療機関は僅かな増収と、材料費の低下等から得られた経営資源を従業員の確保または給与水準の引き上げに回しているが、今後の更なる労働環境の改善に必要な財源は確保できていない状況であると考えられる。

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